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みんなで難関大数学を攻略しよう!

0 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/14 15:18
今日はじめて、何かのはずみで、このサイトに来てみて
皆さんが勉強に悩み、打ちこんでいる姿に共感しました。
そこで皆さんの手助けになれるよう今日から数学講義をしようと
思います。(やる気の続く限り)
週1~2問のペースで50問くらい続ければいいけどなと
思いますので、宜しくね。
なお、題材はすべて過去問です。やはり、教授達が一年に
一回の為に、苦労して作った傑作が多いため、非常に力がつきます。
でも解答はすべて私のオリジナルで書きます。
僕のボケ防止と、何よりも皆様の数学力向上のため、楽しく解きましょう!

では、
問1:すべての正の実数x、yに対し√x+√y≦k√2x+y
が成り立つような実数kの最小値を求めよ。 (1995東大)

解答その1:
「すべての正の実数x、yに対し、√x+√y≦k√2x+y」
⇔「すべての正の実数x、yに対し√x+√y/√2x+y≦k」?
ここに√2x=rcosθ √y=rsinθ {x>0 y>0のときr>0 0<θ<π/2}
とおけば右辺=√1/2・cosθ+sinθ=√3/2・sin(θ+α)≦√3/2
ここでαはtanα=1/√2なる角。
θ+α=/2のときこの等号は成立するので、√x+√y/√2x+yのx>0 y>0
における最大値は√3/2であり?⇔√3/2≦k (答)√3/2

本解答では「置き換えによりいかに式を簡単にしていくか」に注目して欲しい。
1 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/14 15:50
解答その2: ?まで同じ
√x/y+1=uとおくと右辺=u/√2u2-4u+3=1/√3(1/u-2/3)^2+2/3
ここでx、yが正の実数で動く時、uはu>1を満たして動くので0<1/u<1
この下で考えると上は1/u=2/3のとき最大値√3/2を取ることが分かる。

解答その3:
√x/y=tとおくと右辺の2乗=(t+1)^2 / 2t^2+1 = 1/2 + 2t+1 / 2t^2+1
=1/2 + u / 1/2u^2-1/2u+9/8=1/2 + 1/ 1/2u+9/8u-1/2 ≦3/2
但し、u=2t+1/2 とおいた。このとき相加平均≧相乗平均の関係から
1/2u+9/8u≧3/2 であるので。
よって右辺≦√3/2

本解答のポイントは1次式/2次式であれ2次式/1次式であれ必ず相加平均≧
相乗平均を使える形に持っていけることにある。つまり積=一定の形である。

解答その4:?まで同じ。
yを固定して考え、右辺をf(x)とおくと、f(x)の増減を調べることで
f(x)はx=y/4のとき最大になり最大値はf(y/4)=√3/2

いわゆる多変数関数を扱うえで文字固定をしながら扱うという考えである。
予選決勝法とも言われる。多変数関数を一気に扱うことは無理で、一文字以外を固定して
その後固定をはずすという形で考えるのが高校数学の重要手法である。

まだまだ別解はあるが問1はひとまずこの辺で。(各自別解を考えましょう)
2 名前:(´・ω・`):2005/08/14 16:04
良スレのヨカ━(゚∀゚)━ン!!
しかし、√の範囲がどこまでか分かりづらいですorz
3 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/15 09:46
数学を扱っていく上でまず基礎となるのが、数式の扱いです。
難関大では、自ら置き換えをしたり、パラメーターの設定を上手にとって、
量を、なるべくシンプルで美しい形に表現する試みが要求されます。
そこで、数式の扱いに慣れていただく意味で、数問ないし今後計10問以上、
数式処理というテーマで講義を行いたいと思います。

では、問2
実数a,b(0≦a<π/4 、0≦b<π/4)に対し、次の不等式の成り立つことを示せ。
√tan a√tan b≦tan(a/2+b/2)≦1/2(tan a+tan b)
   (1991京大)
解答その1:
0≦b≦a<π/4として一般性を失わない。ここでa/2+b/2=θ a/2-b/2=φ
とおき、更にtanθ=x tanφ=y とおくと、
tan a=tan(θ+φ)=x+y/1-xy tan b=tan(θ-φ)=x-y/1+xy (∵加法定理)
ここでa,b の仮定条件より0<θ<π/4 , 0<φ<π/8より0<y≦x<1 ?
に注意して、
(最右辺)-(中辺)=1/2(x+y/1-xy + x-y/1+xy)-x=xy2+x3y2/1-x2y2 > 0
(中辺)^2-(最左辺)^2=x2 - (x+y)(x-y)/(1-xy)(1+xy)=y2(1-x4)/1-x2y2 >0
よって中辺>0、最左辺>0なので証明された。
4 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/15 10:04
解答その1の補足
注:
a,bが0≦b≦a<π/4 を満たして動く時のθ、φに関する必要十分条件
といえば 0≦θ-φ≦θ+φ<π/4 ということになろう。
しかし本問ではx、yの大まかな変域が分かれば必要性のみの議論は可能なのである。
つまり、あえて置き換えに付随するx、yの条件を(必要性にすぎない)?
にとどめた。

発想方法:
tan a/2、 tan b/2 を単位として、式を分解・変形する発想も理解できるが
せっかくなら、a+b/2 を一まとまりとしたほうが少なくとも中辺は簡単である。
このときa-b/2を引っ張ってくれば、a,bはこの2つの新しいパラメータ
で、表現でき、計算簡単な進行に繋がる。(和⇔積の公式を参照)

対称性のある式の扱いとして和と差を持ってくるというバランス感覚
が大事である。後々予定してるが?かつ?⇔?+? かつ ?-?
という事実を良く理解しよう。小6で習った和差算に通じるものが無
いだろうか?
5 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/15 10:29
解答その2:
f(x)=tan x {0≦x<π/4} とおくと、y=f(x) のグラフは下に凸であるから、
この上の2点(a,f(a))(b,f(b))の中点(a+b/2 , f(a)+f(b)/2)は
y≧f(x)の領域にあり、f(a)/2+f(b)/2 ≧f(a/2+b/2) (グラフより)
∴tan(a/2+b/2)≦1/2(tan a+tan b)

g(x)=log(tan x) {0≦x<π/4}とおけばg'(x)=2/sin2x
g''(x)=-4cos2x/(sin2x)^2 <0 よってg(x)は0≦x<π/4の範囲で
上に凸であり、g(a/2+b/2)≧g(a)/2+g(b)/2
これを整理して √tan a√tan b≦tan(a/2+b/2)

解答その2 は関数の凸性を利用した不等式評価で、受験数学の基本アイテムの
一つである。もちろん一般化でき、関数に、「平均をとってから入れた出力値」
と「入れてから平均をとった値」の間の評価は関数の凸性が利用できると思わなければ
ならない。
tan(a/2+b/2)と1/2(tan a+tan b)を良く見比べてこのことに気づかない人は
まだ基礎力が不足している。
6 名前:匿名さん:2005/08/15 10:58
問1やってみたんですが、何度やってもkの最小値は√6/2 になるんですが・・・
7 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/15 11:10
今日は気分がいいので、とうよりたまたまテーマに沿う短文問題が見つかったので
もう一問おまけ。

では、問3:
nを正の整数、aを実数とする。すべての整数mに対して
m^2-(a-1)m + n^2/2n+1 >0
が成り立つようなaの範囲をnを用いて表せ。(1997東大)

コメント:しっかし東大は、文字を混ぜて変数か定数かをしっかり意識して扱わないと
意味不明になるような複雑な式(しかも意味もへったくれも良く分からん美し
くない式)が好きですねー。でも処理能力を見るにはいいのかもね。
8 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/15 11:38
解答:
与式⇔(n2/2n+1-m)a + m2 +m > 0 ☆
ここでn2/2n+1=n-1/2 + 1/4( 1/2n+1 + 1) はn の奇隅によらず、整数で無い。
よって☆を満たすa の範囲は、
n2/2n+1>m なる整数mに対しては a> m2+m /(m- n2/2n+1) ?
n2/2n+1<m なる整数mに対しては a< m2+m /(m- n2/2n+1) ? と決まる。
ここでmを整数として動かす時のここから得られるa の範囲の重なりを求めれば良い。
ここに、f(x)= x2+x / x-n2/2n+1 {x≠n2/2n+1} とおくと
f'(x)=(x-n)(x+n/2n+1)/(分母)^2 であるから、f(x)はx=-n/2n+1において極大、
x=n において極小。また、f(x)→±∞ (x→n2/2n+1±0)に注意する。
mをn2/2n+1<mの範囲で動かすとき、n2/2n+1<nを考えるとf(m)はm=n
のとき、最小になり、?⇔a<f(n)=2n+1
mをn2/2n+1<mの範囲で動かすとき、f(m)が最大になるのはmが-n/2n+1 に近い整数
である0か-1においてであるから、?⇔a>f(0)かつa>f(-1)⇔a>0
以上よりmをすべての整数として動かす時に?、?が満たされる条件は0<a<2n+1 …(答)
9 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/15 11:51
>>6 さん。もちろん正解ですよ!
√3/2 は3/2の√ということで、分母を有理化すれば√6/2のことです。
パソコン上の書きこみなのでいろいろ分かりにくいこともありますが、
汲み取ってくださいね。(出来れば予備校や赤本で問題、解答をいろいろ研究すると
更に数学的思考というものが身に付きますよ。)
私も解答を読むだけでも力のつく良問、良解答(単にその問題だけしか通用しない解答でなく、
別解含め応用性がある解答=しかしこれこそが素直な数学的思考なのです)を厳選するよう
心掛けますので皆さんの数学力向上の一助となれば幸いです。
10 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/15 12:20
問3解答の発想法:
すべてのmに対しf(m)>0 ⇔(f(m)の最小値)>0
と考えていきたいところであるが、f(m)を最小にする整数mは、実定数a
によって一般的に表示するのは難しく
「すべてのmに対して成立する⇒m=1,2,……の場合で成立する」ので実験することから
始めよう。(必要性で攻めるという数学手法である=抽象情報から、具体情報を抽出し
推理、推論、帰納的論証などにより一般化しなおす。)このような方針転換が計れたらやることは
見えてくる。
つまりm=1のときaの範囲が決まり、m=2のときaの範囲が決まり、、、、
これらから求まるaの範囲の重なりを求めれば良いことになる。
こうして一般的なmについて考えれば関数の変化を考えることになる。

解答の注意:
本解答は完全な定数分離をした上での議論でしたが、僕の手元に残っている
唯一の東大過去問集の解答は、直線と完全な定関数に分離して解答していた。
この方が扱う整式が簡単である場合があり、考えやすい場合もあれば、式に文字が入り乱れ
考えにくい場合もありケースバイケースであるが参考にはなる解答である。

本解答からの別枝について:
f(m)の変化を見る上で、今回は一般的な関数f(x)を元に考えた、
が整数のみで変化する関数(というより数列)の増減を考えるのに隣り合う2項
f(m+1)とf(m)の比較、つまりf(m+1)-f(m) が正か0か負かで場合分ける
というのはよくやる考えである。式の形からこっちのほうが綺麗な場合もあるが(累乗の関数など)
、今回は分数関数で明らかにややこしくなるだけなので別解としなかった。
11 名前:匿名さん:2005/08/15 13:01
>>9
7です。すみません。ありがとうございます。
12 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/15 13:05
>>7 今見て気づきました。
失礼!m^2-(a-1)m + an^2/2n+1 >0
の間違いです。最後の項のaが抜けてました。
皆さんもう一度やり直して見てくだいね。
また、ぼちぼち慣れるまで汲み取って読んでね。
13 名前:匿名さん:2005/08/15 17:20
>3にもあるけど見にくすぎる コンセプトとしてはいいと思うけど…
カッコなりを使ったりして分かりやすく表記してもらいたい
14 名前:匿名さん:2005/08/16 00:08
>3
>14
ここ見れば↓
>http://www.densu.jp/libs.htm
15 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/17 09:50
今日は復習から
問3の類題: aは正の定数とする。不等式a^x≧axがすべての正の数xに対して成り立つという。
このときaはどのようなものか。     (1993 京大後期)
16 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/17 09:53
解答その1:
a^x≧ax ⇔ x log a ≧log a+ log x ⇔ (log a) x - log x ≧ log a  ☆
ここで左辺をf(x) {定義域x>0}とおくと、f'(x)=log a- 1/x なのでf(x)はx=1/log a において
極小かつ定義域内で最小となるから、☆がすべての正の数xに対し成立する条件は
f(1/log a)≧ log a⇔1-log(1/log a)≧log a⇔log(e log a)≧log a⇔e log a≧a⇔ (log a)/a≧1/e 
ここでg(x)=(logx)/x {定義域x>0}について、g'(x)=(1-logx)/x^2であり、g(x)はx=eにおいて
極大かつ最大であり、最大値はg(e)=1/eであるから g(a)≧1/eなるaはeに限られる
 (aがe以外であればg(a)<1/eなのでg(a)が1/e以上になることはない) (答)a=e

解説:
言わずもがな
「すべての~に対し不等式が成立⇒最小になる(あるいは最大になる)ときさえ成立する」という考えである。
(log a)/a≧1/e で、いったんaの条件は出ているが、もちろんこれを更に整理して答える必要があろう。
17 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/17 09:57
解答その2:
a^x≧ax ⇔ x log a ≧log a+ log x ⇔ (x-1) log a≧log x
これがすべての正の数xに対し成立する条件について、まずx=1のとき両辺=0でこれは
確かに成立するので、更に
x>1のとき log a≧(logx)/(x-1)  ?     0<x<1のとき log a≦(logx)/(x-1) ?
が成立する条件を求めれば良い。ここでh(x)=(logx)/(x-1) {定義域x>0,x≠1}とおくと
h'(x)=(1 - 1/x - log x) / (x-1)^2 ここで 分子=p(x) とおくと p'(x)= (1-x)/x2より
p(x)の増減につき、x=1で極大値p(1)=0をとることが分かるので、x≠1においては
h'(x)= p(x)/(x-1)^2 < 0 よってh(x)は減少関数。これを考えると
?⇔ log a≧lim[x→1+0] (logx)/(x-1) = lim[t→+0] (log(t+1)-log1)/t= u'(1) {但しu(t)=logt としている。最後から2つ目の等号は微分の定義より}
 ⇔ log a≧1 ⇔ a≧e
同様に?⇔ log a≦lim[x→1-0] (logx)/(x-1) = u'(1) ⇔ log a≦1 ⇔ a≦e
よって?かつ?が成り立つ条件はa≧eかつ a≦e即ちa=e …(答)
18 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/17 10:08
解答その2の解説:
基本的な考えは同じで、つまり「すべての~に対し不等式が成立⇒最小になる(あるいは最大になる)ときさえ成立する」
という考えである。あとは関数の変化を捉える方法として微分法で増減を調べるという点も同じである。
解答その1と解答その2との違いは「「定数分離を完全に行って議論するか、否か」」である。
定数分離を完全に行なった上での議論では、定数と純関数に分離するのであとは純関数の動き(増減)を
調べれば良いことになり、一見とっつきやすそうだが、本問のように分数形になる場合は定義域にも細心
の注意をしなければならず、しかも式の扱いがむしろ複雑化するので必ずしもこのほうが良いとはいえない
場合もある。もっとも、どっちでも出来るくらいの計算力を身に付けなければいけないが、試験場で要領良く
解けるのは解答その1である。
とはいえ、普段の学習ではいろいろとやっておくことが必要で、そしていろいろな解答の可能性をもっておく
ことが必要で、こうやって初めて実際の試験で自分にとって最適の答案が作れるようになるのである。一つの
問題をいろいろな方面から考えてみるというのは、分野を超えた関連性を発見する機会になり理解が深まると
いうことのみならず、このように限られた時間で試験問題を完答するという実践的な意味においても必須なの
である。また、初心者の頃は謙虚に学ぶ姿勢が大切なので、答案を熟読し、技を盗むことが大切であるが、ある
程度問題集を一通り行なったら、ぜひ自分のもっている力で完答しようと頑張ってほしい。いまある知識のみを
総動員して何とかしようとする力これが応用力であり、知恵と呼ばれるものである。私がぜひ身につけて欲しい
のはこの力であり、この考える力こそがこれからの宝になるんだと思います(今になって思うと…ですが)。
アインシュタイン曰く「知識を得たければ、図書館にいけば済むこと」なのである。
そして解答に自分と違う考え方が出てくればそれを新たな技として、盗めばいいのである。
その為にも、ぜひ自分の考えた方向でいろいろと考えていって欲しいなと思っています。
数学は正しい考えをすれば必ず正解にたどり着けるし、正解にたどり着けない場合は何らか
の修正すべき考えがあるということを意味するのであるから。
もっといえば数学にっとては「正しいことは証明されなければならない、正しくないことは
正しくないことが証明されなければいけない」のだから。
19 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/17 10:19
(コラム:数学とは関係ありません。嫌いな人は読み飛ばしてくださいね) 私のひそかな狙い
そして、なぜ考える力がこの世の中で必要かといえば、それは君達が他人に騙されず、自己を実現していく為なのである。
なぜならそれは、自分に命令する力になるからである。そしてこの世の中では、自分に命令出来ない人間は必ず
他人に支配されることになるからである。未だ人類も、宇宙も死すべき存在であり、不気味であり、依然として
意味の無い存在ではあり、そして逢いもも変わらず世間ではくだらないことでお互いを傷つけ合い、無駄に生が
消費されている。ここに意義を見つけていくのは、これからの若い君達のエネルギーと人類愛であると信じている。
それぞれが自己にチャレンジし、世間の流れに反抗し、自らを試み、そして老いぼれていく私達、死に行く私達
を踏み超えて(踏み台にして)、最後には私達にとって、幸せな楽しい世の中、自由と発展的な活気のある世の
中を創造してくれることを願っています。その為に私は自分の持っている力を、浅はかながら諸君に役立たせたい
と思うのです。 (甘いかな?)
20 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/17 10:32
では、現実に戻ってまだまだ式処理については学ばなければなりませんので……。(あんま
り同じテーマでやると飽きるので次第にテーマを変えていく予定ですが、数式処理は基本で
あると共に、東大ではとくにこれをマスターするだけで合格点(6~7割)がとれる気もす
る。)

では問4:f(x)= 1-sinx に対し、g(x)=∫{0~x}(x - t)f(t) dt とおく。このとき、
任意の実数x,yについてg(x-y)+g(x+y)≧2g(x)が成り立つことを示せ。 
                            (1995東大)
21 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/17 10:42
解答:g(x)=∫{0~x} (x - t)f(t) dt= x∫{0~x} f(t) dt - ∫{0~x} t f(t) dt
であるから、g'(x)=x f(x) + ∫{0~x} f(t) dt -x f(x) = ∫{0~x} f(t) dt
よってg'’(x)= f(x)=1- sinx ≧0 よって下に凸な関数であるから図(略)より
(g(x+y) + g(x-y))/2 ≧g(x)  ∴g(x-y)+g(x+y)≧2g(x)  
22 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/17 11:00
解説:
x-yとx+yはxから均等に離れた(±y)数であり(位置であり、といったほうが分かり良いかも)、
2数の平均はxである。このことを考えるとg(x-y)+g(x+y)≧2g(x)の図形的な意味を考
えたくなるはずである。この、2数を関数に入れてから平均をとったものと、平均をとってから入
れたものとの比較する不等式は、g(x)の凸性が関与している。
尚、解答の一行目の式変形は定数xを前にくくり出したということである。積分部分はtについて
の積分を考えているのだから、この計算部分においてはxはtと独立している以上、定数なのであ
る(Σ計算でもそうですが、定数倍は前にくくり出せる)。
計算結果としては定数xが文字として含まれてくるので、これを改めてxの関数と見ることはで
きる、その意味でg(x)(=xの関数)とおいているのである。
式を何の関数と見るべきで、従って何が文字定数となっているのかを見失わず混乱させられない
ようにしましょう。
東大で、このように文字が多くて、混乱させる意図の問題が多いのは(問1、問3、問4でもそ
うであるし、他にもこんな問題が多数。こんな問題ばかりといってもいいかもしれない)
何を狙ってのことなのだろう。注意力を要求しているのか、あるいはどれが仲間で、どれが
異分子であるのかを識別する能力が、国家運営に必要なのだろうか?
見かけのおどろおどろしさにひるまぬ勇気と、官僚的に正確な計算処理能力を見
たい教授達の趣味と見た。
23 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/17 11:55
コラムその2:(嫌いな人は読み飛ばしてください。数学とあんまり関係ありません)
「微分のことはビブンでしましょう」という格言がある通り、微分計算は自分で出来るよう
に訓練してください。難関大では何回も微分して一つ前の状態の解析を繰り返していかなく
ては元々の関数を解析していけない問題も少なくありません。正確で揺るぎの無い計算力を
つけるよう、常に自分の手を動かして、微分の追体験をしていきましょう。
微分とは瞬間の動きをみること(=接線の方向性=曲線の拡大的、、直線的、一次関数的な
方向性)である。願わくは、人生という山あり谷ありの曲線を動いていく君達には、常に
増加関数を歩み、一瞬一瞬の自分(=微分を)プラスにもっていくように努力してほしい。
その意味で微分とは人生の一瞬一瞬であり、人生の縮図、来へつながる局所なのである。
よって?今の一瞬一瞬を大事にしましょう!この世のすべての存在は過去の影響をうけ、
過去に依存しているのだから。
そして、あなた方の現在も、将来にとっての懐かしい輝かしい過去でありますように。
(勿論、なにもいい成績をとるだけが輝かし過去なのではありません。絶望、失敗、
挫折もまた輝かしい過去なのです。後10~20年くらいすれば分かります。何より
も逃げずに何でもチャレンジできたら素晴らしい。そしていつか生きている事を大い
に肯定できたら素晴らしい。動物的な生き方でも、理知的な生き方でも自分の信念を
持ってくれれば大いに結構です。ただ自由に、生への愛をもって、私達先人にも感謝
して、自己実現の方向、創造性のある方向を各自考えていただけたら)。
数学と全く無縁の、低創造的な仕事をしている私(自業自得)が言うのもなんですが。
でも、常に心に思っておこう! 微分とは人生の縮図である。(即ち自分はより大き
な人類、宇宙の縮図だ。と)        ……うむ、美文だ。

では、気分を変えて新しい数式処理の仕方について
24 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/17 11:58
問5:
次の連立方程式(※)を考える。
(※) y = 2x^2-1 かつ z = 2y^2-1 かつ x = 2z^2-1
(1) ( x , y, z ) = (a , b , c ) が(※)の実数解であるとき
│a│≦1、│b│≦1、│c│≦1 であることを示せ。
(2) (※)は全部で8組の相異なる実数解をもつことを示せ。     
                        (1997 京大後期)
25 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/17 12:07
解答:
(1) 背理法で示す。
│a│>1 と仮定すると、b = 2a^2 -1>│a│ 
(∵2a^2 -1-│a│=(2│a│+1)(│a│- 1) >0) であるから、b >1
このとき、c = 2b^2 - 1>b がいえるからc >1 。よって同様に
a = 2c2 - 1 >c 。以上より a >c > b >│a│となり矛盾が生じる。  ∴│a│≦1
  全く同様に背理法により│b│≦1、│c│≦1。
(2)│a│≦1より、a= cosθ と書ける。 〔0≦θ≦π〕
 このときb = 2(cosθ)^2 - 1 = cos 2θ , c = 2(cos2θ)^2 - 1 = cos 4θ ,
a = 2 (cos4θ)^2 - 1 = cos 8θ であるから、cos 8θ= cosθ が必要で、かつこのとき
このように定まる( x , y, z ) = (a , b , c ) は(※)を満たす。ここで、
cos 8θ= cosθ ⇔ cos 8θ- cosθ= 0 ⇔sin7θ/2 sin9θ/2 = 0
⇔7θ/2 = 0,π,2π,3π 又は 9θ/2 = 0,π,2π,3π,4π  (, は又はの意味。)
⇔θ= 0, 2π/7, 4π/7, 6π/7, 2π/9, 4π/9, 6π/9, 8π/9
この異なる8つのθに対し、(※)を満たす( x , y, z )=(cosθ, cos 2θ, cos 4θ)
が8組決まるので題意は満たされた。
26 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/17 12:15
解説:
(※)の式をいじくって、直接的に結論を出すことも可能であるが、やはり背理法を
思い立って欲しい。背理法での仮定(│a│>1)を加えたほうが式を扱い易い。
(否定形の証明=~でないことを証明せよ などでは殊更である。)このように
新しい仮定条件を加えて式の運用に役立てることが出来るのが、背理法の強みである。
尚、例えば、もともと仮定として?、?、?の条件が与えられており、このとき?を
示すという問題の場合、背理法によれば?、?、?と?バーの仮定を用いて、
ともかく矛盾を導くことが目標となる。この矛盾の導きかは、?、?、?と?バーの
4条件をいろいろいじくってともかく矛盾を導くことでもよいし、?、?、?バーを
使って?に矛盾する、つまり、?、?、?バーを使うと?バーがいえてしまう
(∴?に矛盾)というように答案をもっていってもい。各問題でどの式を扱いやすい
かで矛盾の矛先を決めていけばよい。
答案ではその道筋、全体像がしっかり書かれていることに注意し、また目的を見失わ
ないようにしましょう。
27 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/17 12:18
解説:
(2)│a│≦1 → a= cosθ と書ける 〔-1≦a≦1なるaに対してa= cosθなる
θが0≦θ≦πの範囲に一つ決まる〕 という流れは大切な置き換えであり、受験数学
ではよく見かける。本問でこの置き換えにより、式を簡単にしていけるのは
(※)の式の形(=三角関数の倍角の公式に類似)を見極めた上でのことである。
An = √(A n-1+2) 、 A1=0 という漸化式を解く上で、An = 2 cosθn と
置き換えて式を整理していけるのも(勿論この置き換えをする前に│An│≦2を
帰納法なりで示す必要はあるが)式の形と、置き換えによる式のシンプルな形で
の変形が可能なのを見極めた上でのことになる。参考までに1989京大前期の
?三角関数、極限の問題なども同じ教訓を与えてくれる類題と思われる。
大学入試数学ですら過去(過去問)に依存していると言うべきか…これ如何?
28 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/17 12:22
解説その2:
(2) の三角方程式は大丈夫と思うが、一応今後の応用もあるのでその意義を
教えておきます。三角関数の分野では、加法定理やら和積の公式などややこしい
ものがあるが、使いこなせているだろうか。(むしろ覚える必要は無いが、ある
程度使いこなせるようにはなって欲しい)この三角関数の使い方のテクニックは
沢山あるが、基本をまず一つ。
和→積の公式について:数学では和を積の形に出来る(分解できる)ということ
はたいそう意味のあることを肝に銘じましょう。小学生の整数の素因数分解、
中学生の因数分解、数学?の高次方程式を解くための剰余の定理を使っての因数分解、
……何のためにこのようの積の形に表現してきたのでしょう。それは、とりもなおさず、
方程式を解くための準備ではなかったのでしょうか?つまり、高次式=0という形で、
左辺を変形(因数に分ける)することで、いずれかの因数=0という同値変形が可能
なのです。
和→積の公式の使い方も同じ使い方として役立ちます。つまり左辺でも右辺でも式を
一方に固めてしまい=0の形にした上で、もし、その三角関数の式の部分を積の形に
表現できたらどうでしょう。三角方程式が解ける自信がつきませんか?和→積の公式
もありがたいものだと思ってみませんか?
29 名前:通りすがりのニセモノ:2005/08/17 15:00
π^eとe^πと
では、どちらが大きいか?
類題>>15
ヒント (a^x)≧(x^a)がxの恒等式となるaの範囲を決定して……
30 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/17 15:16
(数学初心者の為に)
背理法で解いていこうと思い立っても、a>1を使ってどのように矛盾を導けばいいのか見当が
つかないものもいるかも知れないので、考え方の一つを示しておきます。ともかく少しでも
抽象的な議論になると極端に何も出来なくなる人が多いので。しかし入試に出されるような
抽象的問題ではごく基礎的な数学的考えをすれば出来るようにしてくれていることが多く、
慣れればむしろ簡単だと思うのだが。
本文で、a>1ではなぜおかしいかであるが、例えば何をすればいいか分からくて
何も出来なければ「具体的に実験してみよう」と考えれば、どんな感じで矛盾が
出てきそうなのかは大まかに分かってくると思う。あとはそれを一般化して説明すれ
ばいいだけである。例えばa=2の場合、何が矛盾しそうかだが、このとき
b=2a2 - 1は7にもなり更に、cはもっと大きくなり、そうするとa=2c2-1からaはなおさら
大きくなり元のa(=2)なんかに回帰するわけはない。
なんせaを与えれば、それが2乗されたり2倍されたりするのだからどんどん式に入れるたびに
大きくなりそうだな。そして、a=1のときかろうじてb=1で済み、a=b=cとどんどん大きくな
らずに済んでいるんだなと感じてもらえればよい。この程度の実験ですぐにa>1とするとなぜだ
めかという矛盾の出し方を一般的に論証できると思う。
抽象問題のほぼすべてはこのような基礎的(具体的に実験してみるなど…)な考え方をとれれば、
十分議論していけるものである。

せっかくですから、式処理にも飽きてきたことですし、(確認すべき基礎事項はまだまだあると思うが)
いったんは置いといて、いくつか論証問題をやって見ましょう。
頭の体操になるので勉強の合間に取り組めばよいでしょう。(明日以降)
31 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/17 15:25
>>29
いい関連問題ですね。復習にぴったりの一問です。
有り難うございます。
32 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/18 10:47
論証問題にもまた数学的で基礎的な考えが流れている。
今回から論証問題を数問扱っていこう。
では
問6:容量1リットルのm個のビーカー(ガラス容器)に水が入っている。m≧4で空の
ビーカーは無い。入っている水の総量は1リットルである。また、xリットルの水が入っ
ているビーカーがただ一つあり、その他のビーカーにはxリットル未満の水しか入って
いない。このとき、水の入っているビーカーが2個になるまで、次の(a)から(c)
までの操作を、順に繰り返し行う。
(a)入っている水の量が最も少ないビーカーを一つ選ぶ。
(b)さらに、残りのビーカーの中から、入っている水の量が最も少ないものを一つ選ぶ。
(c)次に、(a)で選んだビーカーの水を(b)で選んだビーカーにすべて移し、空に
なったビーカーを取り除く。
この操作の過程で、入っている水の量が最も少ないビーカーの選び方が一通りに決まら
ないときは、そのうちいずれも選ばれる可能性があるものとする。
(1) x<1/3のとき、最初にxリットルの水が入っていたビーカーは、操作の途中で
空になって取り除かれるか、または最後まで残って水の量が増えていることを証明せよ。
(2) x>2/5のとき、最初にxリットルの水が入っていたビーカーは、最後まで
xリットルの水が入ったままで残ることを証明せよ。        
                                       (2001東大)
33 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/18 11:43
(1)背理法で示す。
xリットルの水が入っていたビーカーが水の量が増加しないまま残るとすると、ビーカーが3つ
になた時点で、他の2つのビーカーは(a)(b)の操作によって選ばれる(1つにまとまる)とい
うことなので、共にxリットル以下である。このときの水の量は合計3xリットルとなり1リッ
トル未満になるので題意に反し矛盾。  ∴示された。
(2)背理法で示す(以下の(α)(β)の仮定のようなとき、矛盾が生じることを示す。)
(α)xリットルの水が入っていたビーカーが途中で取り除かれたとすると、取り除かれる
時点の操作で、xリットル以上の水のビーカーが他に2つ以上あることになり、この時点
の水の量は合計3xリットル(>6/5)となり、1リットルを超えるので矛盾。
(β)xリットルの水が入っていたビーカーが最後まで残って、水の量が増えているとする
と、この水が加えられるという操作の時点で、他にxリットル以上の水の量のビーカー
(これをビーカー甲とおく)が存在し、その他に1- 2x リットル以下のビーカーも
1つ以上存在したことになる(水の量の合計は1リットルなので)。
ここでもともとこのビーカー甲が存在していたわけではないのだから、これは
操作(a)(b)によって、それ以前に作られていたことになる。そもそも
操作(a)(b)によって選ばれるのは、その時点で水の量が少ない2つのビーカー
であるから、共に1- 2x リットル以下であるはず。このような2つのビーカー
を合わせてxリットル以上の水の量のビーカーを作るので、
2(1 - 2x ) ≧x ⇔ x≦2/5が必要である。 しかし、これは題意に反し矛盾。
                            
∴示された。
34 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/18 11:55
解説:背理法つながりで取り上げた。結論を直接証明するより、結論の否定(反対)のほうが
限定的な条件なので、これを使って論証していける背理法のメリットは大きい。
本問は高校入試レベル、というより、頭の体操的な問題であるともいえるが、それでも数学的
な教訓は含まれている。
この操作は「帰納的」にビーカーの状態を決めていく(前の状態を元に、次の状態が決まって
くる)ということに留意しておく。といってもその一般項についての証明ではないので、
数学的帰納法という単純な発想は当てはまらない。今回の背理法の仮定によると、
操作の最後の姿、つまり最終的な2個の状態を仮定することになる。これをもとに、
どのように矛盾を導くかであるが、帰納的操作をさかのぼって前の状態(3個のときの状態
はどうであったか、とすると4個のときの状態はどうであったか……)へとさかのぼって、
初期の状態の方へさかのぼって、その中で初期条件などとの摩擦(折り合いの悪さ)を見い
出そうとする姿勢が素直だと考えられる。
解説その2:この問題自体の意義はなんであろう。ビーカーの水自体はどんどん増やして
最終的に2つをセレクトするということは…。最終的に選ばれる条件は、そして去り行か
なくては行けない条件は…。そしてはじめから容量の少ないものが淘汰され、はじめから
しっかりした容量をもつ者は、他に影響されず、他に依存せず頂点を極めるのことの意義
は。自然界での、自然淘汰の仕組み、生き残る者と滅びる者との関係は何か?生き残る者
もまた多くを、他者から、即ち他者の破滅から継続しているこの自然の法則をどのように
理解したらいいのだろうか?与える者と受け取る者、どちらがどちらに感謝すべきなのだ
ろうか。やはり、与えるものは、受け取ってくれるものの存在に感謝すべきという数学的
教訓なのだろうか。
35 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/18 12:18
>>33 補足
解答(2)の(β)の最後のほうで共に1-2x以下である。としたところは、x>2/5の
時、x>1-2xなので、(操作(a)(b)において選び出す水の量が少ない2ビーカー
は少なくとも1-2xリットル以下である)と説明を付け加えたほうが分かりやすい
と思われる。
本問でのもともとの仮定条件x>2/5は勿論、前提として考えてよい。
最終的にはともかく矛盾が出さえすれば背理法は完成するのである。
36 名前:単なるニセモノ:2005/08/18 16:22
論理的思考を試す問題

1,2,3番の3人が面接を受けている。このうちいつも真実を述べるのは1人だけで、
他の2人は嘘つき(いつも嘘をつく)である。
 1番の発言 「2番の人は嘘つきです」
この発言から、□番の人が嘘つきであることが確実に言える。
                    (04慶応環境)
37 名前:匿名さん:2005/08/18 16:28
3
38 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/19 10:27
整数問題は京大でよく出されていたが、最近は東大などでも出されることが多いようである。
いくつかのパターン、基本的な定理(フェルマー小定理など)と導き方は他分野
にも役立つ面もあり、また論証力を学ぶ上でも役立つものと思われる。
まとめて取り組んでおくべきだろう。
しかし、本格的な整数問題は決まった方針をはじめから提示するのは難しく、その場で考
えられるあらゆる方針をいろいろとやっていく中で、道筋を見つけていかなくてはいけな
い問題も少なくない。また、時間内に解けるかは運にも左右されると思われる。あんまり
マニアなことをやる時間があれば式処理等の訓練をすべきで、あまりの難問は誰も解けな
いと信じて、基礎的な定理と定理を導く考え方、及び基本的な数学の考え方に絞って学習
することに専念すればいいものと思う。
但し、実際には誘導をつけてくれていることが多いので、確実に部分点を取ることは当然
として、うまくいけば満点取れるくらいには準備しておきましょう。
何でも解けるというレベルは難しい(才能も要る)が、このレベル(8割の確率で正解で
きるくらいのレベル)ならば上記のような学習で可能である。
39 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/19 10:29
では、実際の問題を見ていきます。

問7:
m、n は自然数で、m<n を満たすものとする。m^n + 1、 n^m + 1がともに10の倍数
となるm、n を1組与えよ。 (1996京大後期)
40 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/19 11:23
解答:m^n + 1が10の倍数 ⇔ m^n≡9 (mod 10) ☆
が満たされるためにはmが奇数であることが必要で、 同様にn^m + 1が10の倍数より、
nが奇数が必要。
☆が満たされる条件は、mをもともとの10で割ったあまりが関与するだけなので、
以下のように分類をして☆が成り立つの条件を考察する。
(?)m≡1(mod 10)のとき:常にm^n≡1となり☆はどのようなnに対しても成立しない。
(?)m≡3(mod 10)のとき:3^1≡3、 3^2≡9、 3^3≡9×3≡7、 3^4≡7×3≡1
、3^5≡3、 ……・となり3^nを10で割った余りは、3 ,9, 7, 1と4周期で繰り返し
☆⇔n=4k+2 (k∈N)と書ける。このときnが奇数という条件は満たされない。
(?)m≡5(mod 10)のとき:常にm^n≡5となり☆はどのようなnに対しても成立しない。
(?)m≡7(mod 10)のとき:7^1≡7、 7^2≡9、 7^3≡9×7≡3、 7^4≡3×7≡1、
7^5≡7、 ……・となり7^nを10で割った余りは、7 ,9, 3, 1と4周期で繰り返し
☆ ⇔n=4k+2 (k∈N)と書ける。このときnが奇数という条件は満たされない。
(?)m≡9(mod 10)のとき:9^1≡9、 9^2≡1、 9^3≡1×9≡9、 9^4≡9×9≡1、
……・となり9^nを10で割った余りは、9 ,1 を繰り返すので、☆⇔nは奇数。

以上の考察より、m^n≡9 (mod 10)かつn^m≡9 (mod 10)⇔m≡9 かつn≡9
これを満たすm, n (m<n)の一例として、m=9, n=20050819など。 (答)
41 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/19 11:39
指針:
整数問題でまず基本となるのがmodule計算であるので、一応確認の意味で取り上げた。
当たり前の法則であるが、難関大を受験する方は、早く使いこなして答案を書けるよう
になって欲しい。これだけを使いこなせるだけかを聞いている問題も少なくはない。
(類題1995京大文系後期、1979東大、1993東大)
さて、抽象的な問題は実験していくうちに方針や目途が立っていくことが多いので、
まず具体的にmをいろいろと変えていき、まず予測をたてることが大切なのは先に
述べた。(問3、問5)
あとはその予想を論理立てて、議論の漏れが無いよう説明して行くだけである。
10で割った余りを考えればよいので、一の位について場合分けをすればよいし、
とくに奇数が必要と絞り込めば、場合分けの数も知れている(上記の5通り)。
42 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/20 12:34
問6の類題ともいえるが新しい内容を含むので独立させておく。
問題8:
(1) xは0°≦x ≦90°をみたす角とする。
    siny=│sin4x│ かつ cosy=│cos4x│かつ0°≦y≦90°
  となるyをxで表し、そのグラフをxy平面に図示せよ。
(2) αは0°≦α ≦90°をみたす角とする。
0°≦θn ≦90°をみたす角θn , n = 1, 2, …を
θ1= α かつ sinθn+1=│sin4θn│ かつ cosθn+1=│cos4θn│
で定める。kを 2以上の整数として、θk =0°となるαの個数を kで表せ。
                          (1998東大文系)
43 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/20 14:08
解答:
(1)点(cos4x , sin4x)は単位円上の点であり、点(│cos4x│ , │sin4x│)はそれを
必要に応じ、x軸、y軸に関して折り返し、第1象限にもってきたもの。
これと第1象限上の点(cosy , siny)が一致する条件は、図より考えると
0°≦x≦22.5°のとき y=4x
22.5°≦x≦45°のとき y=180°-4x
45°≦x≦67.5°のとき y=4x -180°
67.5°≦x≦90°のとき y=360°-4x  (答) 図は略

(2)θn+1とθnの関係は(1)のyとxの関係であり、(1)の図より、θn+1に対しθnを
決定することが出来る。
即ち、θk =0°のときθk-1 =0°, 45°, 90°であり、更に
θk-1 =0°に対しθk-2 =0°, 45°, 90°
θk-1 =45°に対しθk-2 は0°<θk-2<90°の範囲に4つ
θk-1 =90°に対しθk-2 は0°<θk-2<90°の範囲に2つ
となり、θk-2は9個決まり、それは、0°と90°と0°<θk-2<90°の範囲に7つである。
このようにして考え、θmが一般にAm個決まるとすると(0≦m≦k-1)、
このAm個の中には0°、90°が含まれ、他のAm-2個は0°<θm<90°の範囲内にあること、及び、
θm =0°に対しθm-1 は3個、θm =90°に対しθm-1は2個決まり
0°<θm<90°の範囲内にあるθm一つに対してθm-1は4個決まるのだから、
Am-1 = 3+2+4(Am -2)   〔0≦m≦k-1〕
∴Am -1=1/4(Am-1 -1)  よって数列{Am -1}は公比1/4の等比数列であり、
Ak-1 -1 =(1/4)^(k-2) (A1 -1) ここで Ak-1 =3であるから、
 A1=2・4^(k-2)+1=2^(2k-3)+1 (答)
44 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/20 14:12
解説:(2)当然に帰納的流れ(帰納的決まり方)を感じなくてはならない。
要はθk =0°のときθ1がいくつ求まってくるかを聞いている。いつもと
逆の流れではあるものの(いつもとはθ1から出発してθkを決めるということ)
θmに対しθm-1を決定することが出来るので、この流れに従って漸化式をた
てればよいだけ。あとはそれを解けば一般項は求められる。但し、大雑把に
いえばθm一つに対しθm-1は4つ決まるが((1)のグラフが逆W型なので。
(1)は大きなヒントになっている)、
θm=0°のときとθm=90°のときは例外であるので、しっかり区別して
θm一つに対しのθm-1の決まり方を論じましょう。
非常に典型問題であり、東大京大理系で類題の出題は今だに多い。
(とくに東大では関数と絡めて、京大では確率と絡めてが多いようである)
基礎問題であるが、東大京大文系にとってはこの帰納的な流れを意識する
問題に慣れていない人も多く戸惑うのかも知れない。
45 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/21 10:47
問8に関してもう1題で確認しておく。
問9:
pを2以上の整数とする。2以上の整数nに対し、次の条件(イ)(ロ)をみたす複素数の
組(Z1, Z2,…, Zn)の個数をAnとする。
(イ)k=1,2, …,nに対し、 Zk^p=1 かつ Zk≠1
(ロ)Z1 Z2 … Zn=1
このとき次の問に答えよ。
(1) A3を求めよ。
(2) An+2を An+1、 Anの一方または両方を用いて表せ。
(3) Anを求めよ
      (2001京大)
46 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/21 11:07
(1) Z^p=1の解は、Z=cos 2mπ/p + i sin2mπ/p (m=0,1,2,…,p-1)のp個
であり、このうちm=0のときは、Z=1であるから、条件(イ)をみたすZkはp-1通りある。
Z1Z2Z3=1となる条件(イ)をみたすZ1 、Z2 、Z3 についてZ1 はp-1通りあり、
Z2 はp-1通りからZ1 Z2 =1なる1つを除いていずれでもよく、p-2通り。
Z1 Z2 ≠1をみたすようなZ1 Z2 に対し、条件(イ)をみたすZ3は1通りとれるので
A3=(p-1)(p-2)  (答)
(2) An+2、即ちZ1 Z2 … Zn Zn+1 Zn+2 =1及び条件(イ)をみたす組
(Z1, Z2,…, Zn, Zn+1,Zn+2)の個数について、
Z1 Z2 … Zn Zn+1=1とするとZn+2 =1となり不適であり、Z1 Z2 … Zn Zn+1≠1なる
Z1, Z2,…, Zn, Zn+1に対し条件(イ)をみたすZn+2は1つに決まる。
ここで条件(イ)をみたす(Z1, Z2,…, Zn, Zn+1)のとり方は(p-1)^(n+1)あるが、
このうちAn+1通りはZ1 Z2 … Zn Zn+1=1とするので、条件(イ)を満たしかつ、
Z1 Z2 … Zn Zn+1≠1をみたす(Z1, Z2,…, Zn, Zn+1)のとり方は
(p-1)^(n+1)-An+1通り。これがAn+2に一致する。
以上よりAn+2=(p-1)^(n+1)-An+1  (答)
47 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/21 11:09
解答(3)(2)の漸化式を辺辺(p-1)^(n+2)で割って、An/(p-1)^n ≡Bn とおくと、
Bn+2 =-1/(p-1)・Bn+1+1/(p-1) ⇔Bn+2-1/p =-1/(p-1) { Bn+1-1/p}
これは数列{ Bn+1-1/p}が公比-1/(p-1)の等比数列であることを示し、
Bn-1/p=(-1)n-2/(p-1)n-2 { B2-1/p}ここでA2=p-1より B2=1/(p-1)であるから、
Bn=(-1)n-2/p・(p-1)n-1 +1/p  ∴An=1/p{(p-1)n +(-1)^n(p-1)} (答)
48 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/21 11:15
解説:
(2)漸化式を立てる時はどうやって以前の状態に結びつけるかを考えることが大切で
あるが、結びつきばかりを意識してはうまく帰納的流れを把握できないことも多い。
まず直接的にAnを求めようとする中で、必然的に以前の情報が必要になるからこそ、
漸化式を立てなくては仕方ないという感覚を持てる様になって欲しい。
(3) (答)はAn=1/p{(p-1)^n +(-1)^n(p-1)}としたほうが、パソコン上分かりやすいので
訂正しておきます。漸化式を解くパターンはいくつかあり、本問でも様々な解法が考えられる。
 An=pAn-1 +f(n) 型のときは、辺辺p^nで割って、Bn≡ An/p^nの階差数列が分かることから、
Σ計算に持っていてもよい。本問では、(2)の漸化式を(-1)^(n+2)で割ることになろう。
Anよりf(n) に応じて適当な関数だけずらした新数列、Bnを持ってきて、Bn =(-1)Bn-1
を目指してもよい。
49 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/23 13:03
では、
問10:
nを 2以上の整数とする。実数 A1 , A2 , ……, An に対し、S=A1+A2+……+An とおく。
k = 1 , 2 ,……,n について、不等式 -1<S -Ak <1 が成り立っているとする。
A1≦A2≦……≦An のとき、すべての k について、 │Ak │<2  が成り立つことを示せ。
                               (2001京大文系)

論証問題は以前より、京大に多かったが、近年、東大にもこの手の問題が文理を問わず
ちらほら出題されるようになってきている。数学的思考や発想力を鍛える上で役立つので、
東大受験生もぜひ京大の逸問には取り組んでおいてもらいたい。アプローチの仕方は
いろいろあり十人十様と思われるが、時間内にとくためにはどのような発想が出来なけ
ればいけないのか自分なりの分析をしておくことが大切であろう。
50 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/23 13:56
解答:
?)0<A1 (≦A2≦……≦An )のとき: An ≦ A2+……+An = S -A1 < 1 より示された。
?)0>An (≧……≧A2≧A1 )のとき: A1 ≧ A1+……+An-1 = S -An >-1 より示された。
?)0≧A1 かつ0≦An のとき: 題意よりS -A1 <1 および  -1<S -An が成り立つから、
S <A1 + 1≦1  , S >An - 1≧-1  ∴-1 < S < 1
よってすべてのkについて-1<S -Ak <1 ⇔ S - 1< Ak <S + 1 より-2 < Ak <2
以上の?)?)?)ですべての場合(0の位置での場合分け)は尽くされているので、示された。

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