NO.10389757
みんなで難関大数学を攻略しよう!
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0 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/14 15:18
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今日はじめて、何かのはずみで、このサイトに来てみて
皆さんが勉強に悩み、打ちこんでいる姿に共感しました。
そこで皆さんの手助けになれるよう今日から数学講義をしようと
思います。(やる気の続く限り)
週1~2問のペースで50問くらい続ければいいけどなと
思いますので、宜しくね。
なお、題材はすべて過去問です。やはり、教授達が一年に
一回の為に、苦労して作った傑作が多いため、非常に力がつきます。
でも解答はすべて私のオリジナルで書きます。
僕のボケ防止と、何よりも皆様の数学力向上のため、楽しく解きましょう!
では、
問1:すべての正の実数x、yに対し√x+√y≦k√2x+y
が成り立つような実数kの最小値を求めよ。 (1995東大)
解答その1:
「すべての正の実数x、yに対し、√x+√y≦k√2x+y」
⇔「すべての正の実数x、yに対し√x+√y/√2x+y≦k」?
ここに√2x=rcosθ √y=rsinθ {x>0 y>0のときr>0 0<θ<π/2}
とおけば右辺=√1/2・cosθ+sinθ=√3/2・sin(θ+α)≦√3/2
ここでαはtanα=1/√2なる角。
θ+α=/2のときこの等号は成立するので、√x+√y/√2x+yのx>0 y>0
における最大値は√3/2であり?⇔√3/2≦k (答)√3/2
本解答では「置き換えによりいかに式を簡単にしていくか」に注目して欲しい。
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51 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/23 14:01
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解答の発想方法:
まず、-1<S -Ak <1 より、S - 1< Ak <S + 1 なので、あと -1 < S < 1がいえないものかな?
と考えてみた。(結論からお迎えby 青チャート )
?のcase( A1≦A2≦……≦Anの途中に0が入るケース。即ち、おざっぱにいえば、符合の変わり目
があるケース)では、これはすぐに言える。
それ以外のすべて正のcase や、すべてcase はもっと簡単である。
即ち、すべて正のcase では、最大のAnでさえ、1未満であることがすぐ示せるので。
あとは以上を答案にすればよいだけ。
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52 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/23 14:04
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注意1:
「すべてのkに対し、-1<S -Ak <1」 ⇔ 「S -A1 <1 かつ -1<S -An」
であることに注意せよ。つまり代表的な2式で、左の「」内のことがくまなく表現されている
のである。中辺の最大値でさえ、1未満であり、中辺の最小値でさえ-1以上であることが
必要十分であるという考えである。
注意2:抽象数列の問題では、0の位置を基準に場合わけすることが多い。
(不等号を考える時、0より大きいものを加えれば増加し、0より小さいものを加えると
減少するので0が増加か減少かの境目になるのは尤もである。)
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53 名前:匿名さん:2005/08/24 00:29
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なんかここだけ違うねwwww
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54 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/24 12:52
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問11:
xy平面において、x座標、y座標ともに整数であるような点を格子点と呼ぶ。格子点を頂点
に持つ三角形ABCを考える。
(1) 辺AB,ACそれぞれの上に両端を除いて奇数個の格子点が あるとすると、
辺BCにも両端を除いて奇数個の格子点があることを示せ。
(2) 辺AB,AC上に両端を除いてちょうど3個ずつ格子点が存在するとすると、
三角形ABCの面積は8で割りきれる整数であることを示せ。
(1992東大)
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55 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/24 13:07
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解答:
(1)まず、直線上の格子点は等間隔に並ぶことに留意する。というのも、隣り合う直線上の
2つの格子点で区間が最小のものをX,Yとおくと、ベクトルXYは、整数を成分に持つベク
トルであるから、各格子点からベクトルXYだけすすんだ終点は、同じ直線上の格子点になる
ので、常にXYと同じ区間ごとに直線上の格子点が位置するはずだから。そこで、
辺AB上の隣接する格子点を始点、終点とするベクトルを( a, b )
辺AB上の隣接する格子点を始点、終点とするベクトルを( c, d )とおけば、
〔以上のa, b , c, dは整数である〕(1)の仮定条件のとき、
ベクトルAB=2p( a, b ) ベクトルAC=2q( c, d )と書け〔p、qは自然数〕、
辺辺引くと、ベクトルCB=2(pa - qc , pb -qd )=2g(m , n ) となる。
〔gはpa - qc、pb -qdの最大公約数。m , nは適当な整数で、mとnは互いに素。〕
この式は辺CB上に両端を除いて、格子点が2g -1 個あることを示す。よって示された。
(2)辺上に両端を除いて3個の格子点がある場合、隣接する2格子点の区間としては
4つあることに留意すれば、(1)で述べたようにこの区間は均等であるから、
ベクトルAB=4( a, b ) ベクトルAC=4( c, d )と書ける〔a, b , c, dは整数〕。
この2ベクトルで形成される三角形ABCの面積は1/2 │4a×4d - 4b×4c│= 8│ad - bc│=( 8の倍数)。
よって示された。
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56 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/24 13:13
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解説:具体例でも考えて実験すれば明らかな問題。
はじめは実験でよいとしても、解答は一般的に数式で表現して説明しましょう。
(1) では、辺BCの中点が格子点であることを示してもよいでしょう。
ど真ん中が格子点ならその左右に同数の格子点が続くので、辺上の格子点が
奇数個になるのは当然であるし、結論をこのように言い換えて、これを示す
べき目標とすれば、答案はとても書きやすい。
はじめにどのように設定するかを考えるのが、簡明な解答作りに欠かせない
視点です。数学ではどのように式を置き換えれば、式がうまくまとまってい
くか、どのようにパラメータを設定すればもっとも量の表現が簡単になるのか、
を日頃から考えおくことが大切です。
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57 名前:匿名さん:2005/08/25 07:34
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良スレ乙!
下手な月刊誌買うよりずっといい。
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58 名前:匿名さん:2005/08/26 09:09
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数列と整数
http://skredu.web.infoseek.co.jp/s001/s001.html
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59 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/26 14:12
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復習がてらに以下の類題に取り組んで欲しい。
いかに自分なりの言葉で、論理的に説明していくかについて、自分なりに
悩んでもらえば幸いである。論理的な解答作りが学べる良問である。
問10の類題:
すべては0でないn個の実数A1, A2, ……An があり、
A1≦A2≦……≦Anかつ A1+ A2 + …… +An = 0 を満たすとき
A1 + 2 A2 + …… + n An > 0 が成り立つことを証明せよ。
(1986 京大)
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60 名前:匿名さん:2005/08/26 14:31
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解答:
A1≦A2≦……≦An のとき、A1>0とすると、A1+ A2 + …… +An ≧nA1 >0となり題意に
反し、An <0 とするとA1+ A2 + …… +An ≦nAn<0となり題意に反するので、
A1≦A2≦……≦Anかつ A1+ A2 + …… +An = 0 のとき、A1 ≦0 かつ An≧0が必要で、
このときA1≦A2≦…≦Ak≦0≦Ak+1≦……≦An なるkが1からn-1の間に存在する。(☆)
このとき、A1 + 2 A2 + …+k Ak+ … + n An≧k A1 + kA2 + …+k Ak+ … + k An = 0 ?
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61 名前:匿名さん:2005/08/26 14:32
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ここで、等号が成立するのは、A1= k A1かつ 2 A2 = kA2かつ・…… n An = k An 即ち
Ai= k Ai (i≠k , 1≦i≦n)⇔Ai= 0 (i≠k , 1≦i≦n)のときに限り、このとき
更に(☆)より、A1= A2 = …… = An = 0 となり、題意に反する。以上より題意の時、
?の等号は成立せずA1 + 2 A2 + …… + n An > 0
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62 名前:匿名さん:2005/08/26 14:35
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解説:
A1+ A2 + …… +An = 0であるから大雑把に言えば、正のものの和と、負のものの和が0で
バランスをとっている状態である(0のものは除いて考えると)。
それに比べ、A1 + 2 A2 + …… + n Anという式は明らかに、+の符合を持つものに
より大きなバイアスをかけているので、バランスとしては+に傾くのは感覚的に明らかで
ある。これを正確に議論するには0という境目で区切って考えるとよい。
0以上のものは加えれば加えるほど(係数が大きいほど)大きくなるし、0未満のものは
あまり加えなければ(係数が小さいほど)より和を大きくすることが出来るので、
?は当然である。(☆)のように、k項目という境目を答案上に出しておくと議論は
容易である。
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63 名前:匿名さん:2005/08/26 14:41
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問12:
P1= 1, P 2= 1, P n+2= Pn+ Pn+1 (n≧1)によって定義される数列{Pn}をフィボナッチ数列
といい、その一般項はPn = 1/√5{(1/2+√5/2)^n -(1/2+√5/2)^n}で与えられる。
必要ならばこの事実を用いて、次の問に答えよ。
各桁の数字が0か1であるような自然数の列Xn (n= 1, 2,……)を次の規則により定める。
(?)X1= 1
(?)Xn のある桁の数字αが0ならばαを1で置き換え、αが1ならばαを‘10’で置き換え
る。Xn の各桁ごとにこのような置き換えを行なって得られる自然数をXn+1とする。
たとえば、Xn =1 , X2 =10, X3 =101, X4 = 10110, X5 =10110101, …… となる。
(1)Xn の桁数An を求めよ。
(2)Xn の中にという数字の配列が現れる回数Bn を求めよ。(たとえば、B1 = 0, B2 = 0,
B3 =1, B4 =1, B5 = 3, ……)
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64 名前:匿名さん:2005/08/26 14:44
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解答:(1992 東大文系)
(1) Xnに含まれる0の個数をRn , 1の個数を Snとおくと、これをもとに本文の規則によると
Xn+1に含まれる0の個数はSn , 1の個数をRn + Snとなる。
∴Rn+1 = Sn かつ Sn+1 = Rn + Sn (n≧1)
2式より Snを消去して、∴Rn+2 = Rn+1 + Rn (n≧1) 。ここでR1 = 0 , R2 = 1,
R3= 1であるから、数列{Rn}と数列{Pn}について比較して、Rn= Pn-1 (n≧2)が分かる。
以上より、An = Rn + Sn = Sn+1 = Rn+1= Pn+1
=1/√5{(1/2+√5/2)^(n+1) -(1/2+√5/2)^(n+1)} (n≧1) (答)
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65 名前:匿名さん:2005/08/26 14:47
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(2)まず、Xn において0が連続することは無い。なぜなら、0はXn-1の1を‘10’におきかえる
ことによりはじめて出現するのだから、0の前の数字は常に1であり、またその0の後ろの数字は
Xn-1の0を置き換えたものであっても、1を置き換えたものであっても1が先頭になるからである。
よって0の後ろは数字が続くとすれば必ず1であるから、‘01’の個数とは、基本的に‘0’の個数
に一致する。もっともこの規則に拠れば{Xn}の最後に来る数字は1→0→1→0→…と変わるので、
nが偶数の時はXnの末尾の数字は0であり、1が続かないから‘01’の個数は‘0’の個数マイナス1
である。故に、
Bn= Rn= Pn-1= 1/√5{(1/2+√5/2)^(n-1) -(1/2+√5/2)^(n-1)} 〔n:奇数のとき〕
(最後の等式はn≧3のときであるが、これはn =1のときも正しい)
Bn= Rn- 1 = Pn-1- 1= 1/√5{(1/2+√5/2)^(n-1) -(1/2+√5/2)^(n-1)}- 1
〔n:偶数のとき〕 (答)
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66 名前:匿名さん:2005/08/26 14:49
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解説:
(1)Xnの状態をもとに、Xn+1の状態が決まっていくという帰納的な決まり方をするので
Xnの状態を設定すれば、その流れに従い必然的にXn+1の状態も決まる。つまり帰納的な流
れに従い、漸化式が立つのは当然である。但し、帰納的な流れをうまく利用できるように、
0の個数と1の個数に分けて設定する必要がある。
(2)00と0が連続しないということに気づくかだけの問題なので、ここは正確に論証し
ましょう。
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67 名前:匿名さん:2005/08/26 14:53
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注意:
(1)の別解として{Xn}をよく眺めて、「Xn+1は前にXn、後ろにXn-1をくっつけたもの」(☆)
であることに気づいた人も少なくないでしょう。勿論これの証明は、帰納的定義で定まる一般項に
ついての証明なので数学的帰納法によればよい。つまり、確かにX3は前にX2、後ろにX1を付けた
ものであるから(☆)はn = 2のとき成立し、もし(☆)がn = kのとき成り立つとすると(kは2以
上のある数)、即ちXk+1が前にXk、後ろにXk-1をくっつけたものであると過程すると、このXk+1の
前の部分Xkを規則に従ってXk+1とし、後ろの部分を規則に従ってXkにしたものがXk+2であるから
これは(☆)のn = k + 1のときの成立を示す。以上より、2以上のすべてのnに対して成立する
ことが示された。
このように(☆)を論じることが出来れば、An+2 = An+1 + An と直接{An}の漸化式が立ち、
一般項が求められる。
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68 名前:匿名さん:2005/08/26 15:10
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帰納的定義に関する問題いついて:
次第にテーマがずれてきたのでついでに……。
問8、問12にも共通しますが、東大数学では積分関数列、数列、確率など分野は変えては
いるものの、帰納的定義(=1つ前や二つ前、場合によっては以前の状態すべてに依存し
て、次の状態が決まるという決まり方。漸化式もその一種。)に従って決まる量、式
に関する問題が文理を問わずほぼ毎年1問出ているようです。
類題は腐るほど見つかります。解法は、もし予想が立っているのなら、又は一般項に
ついて何かを示せという形の問題ならば、帰納法で証明できるのが通常である。
なぜなら帰納法は以前の状態を仮定して、次の状態での成立を示すのが肝になります。
ここで、以前の状態により次の状態が決まるという帰納的定義がもしあるのなら、
以前の状態の情報は、そのまま次の状態を決定する情報に結びつくことになるので、
次の状態で成立するかどうかを論じるのは1つの文字に関する仮定→結論を論じる
というシンプルな問題に帰着されるからです。
即ち、帰納的定義というのは帰納法に親和性があるのです。
(当然といえば当然ですが。)
勿論、漸化式を立てて直接求めていくほうが手っ取り早いことも多く、常に帰納法
に載せる必要はありません。この帰納的定義の類題の中から代表的なものをいくつ
かを挙げて、解説しておきます。東大京大を問わず頻出なので、早く慣れてしまい
ましょう。慣れれば、すべて同じ問題に見えてくると思います。
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69 名前:匿名さん:2005/08/26 15:19
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>>63
Pn = 1/√5{(1/2+√5/2)^n -(1/2-√5/2)^n}
の間違いです。Pn内の+を-に変えておいて下さい。
特性方程式t^2=t+1の2解が現れるはずなので、気づいて
もらっていたものと思いますが。
以下の解答部分も訂正しておいてください。
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70 名前:匿名さん:2005/08/26 18:10
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一橋大学・入試実戦模試・数学
http://skredu.web.infoseek.co.jp/20050708.pdf
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71 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/27 04:54
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問13:
片面を白色に、もう片面を黒色に塗った正方形の板が3枚ある。この3枚の板を机の上に横
に並べ、次の操作を繰り返し行なう。
さいころを振り、出た目が1,2であれば左端の板を裏返し、3,4であればまん中の板
を裏返し、5,6であれば右端の板を裏返す。
たとえば、最初、板の表の色の並び方が「白白白」であったとし、1回目の操作で出た
さいころの目が1であれば、色の並び方は「黒白白」となる。更に2回目の操作を行な
って出たさいころの目が5であれば、色の並び方は「黒白黒」となる。
(1)「白白白」から始めて、3回の操作の結果、色の並び方が「黒白白」となる確率
を求めよ。
(2)「白白白」から始めて、n回の操作の結果、色の並び方が「白白白」または
「白黒白」となる確率を求めよ。
注意:さいころは1から6までの目が等確率で出るものとする。 (2004 東大)
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72 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/27 04:57
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解答:
(1)題意をみたすのは
(?)3回の操作とも左端の板を裏返す場合か
(?)3回中1回だけ、左端の板を裏返し、残りの2回はまん中か右端の板を繰り返し裏返す
場合 であり、(?)の確率は(1/3)^3=1/27 (?)の確率は3C1・(1/3)^3×2=2/9
なので、求める確率はこの和で7/27 (答)
(2)n回の操作で
・「白白白」となる確率をAn
・「黒白白」又は「白黒白」又は「白白黒」のように黒が1つのみ含まれる確率をBn
(対称性より「黒白白」となる確率=「黒白白」となる確率=「黒白白」となる確率=1/3 Bn)
・黒が2つ含まれる確率をCn
・「黒黒黒」となる確率をDn とおくと、次の漸化式が立つ。
「?An+1=1/3 Bn かつ? Bn+1=An + 2/3 Cn かつ?Cn+1=2/3Bn + Dn かつ?Dn+1=1/3 Cn 」
また、A0= 1 , B0= C0= D0= 0 である。
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73 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/27 05:01
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??より?Cn+1=2/3Bn + 1/3Cn ここで?より Cn=3/2( Bn+1- An) なのでこれを代入して
また?より、Bn =3 An+1なのでこれにより数列{An}の漸化式を作ると、
9An+3-10 An+1+ An-1= 0 (n≧2) ※
※はAn+3- An+1 = 1/9 ( An+1-An-1) ? , 9An+3- An+1 = 9An+1-An-1 ? と変形でき、
?より、A2m- A2m-2 = (1/9) ^(m-1) ・( A2-A0) = (-2/3)・(1/9) ^(m-1) (m≧1)
?より、9A2m- A2m-2 = 9A2- A0 = 2 (m≧1) 〔∵A2 = 1/3 B1 = 1/3A0 + 2/9 C0 = 1/3 〕
この2式の辺々を引いて、A2m = 1/4 + 1/12・(1/9)^(m-1) = 1/4 + 3/4・(1/3)^(2m)
これはm= 0 のときも正しい。
また
?より9A2m+1- A2m-1 = 9A3- A1 = 0 (m≧1) 〔∵A1= 1/3 B1 = 0 , C1 = 0よりB2 = 0 , A3 = 0〕
∴ A2m+1=1/9 A2m-1 であり、A1 = 0 であるから帰納的にA2m+1= 0 (m≧0)
以上より、一般にAn = 1/4 + 3/4・(1/3)^n 〔n:偶数のとき〕, An = 0 〔n:奇数のとき〕
(2)で求める確率はAn + 1/3 Bn = An + An+1 のことであるから、これは
n:偶数のとき1/4 + 3/4・(1/3)^n , n:奇数のとき 1/4 + 1/4・(1/3)^n (答)
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74 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/27 05:04
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解説:
問13は、「問題8、12の類題」その1です。
典型的な問題であり、次の状態は前の状態をもとに決まっていくので、
前の状態を設定すれば(確率の文字を使って)、次の状態が決定できるし(従って漸化式が
立つし)、逆にいえば、前の状態を決めない限り次の状態が決められないのと考えるので
あれば、前の状態を設定しておいて漸化式を作る以外に方法は無いように思われる。
つまり、帰納的定義に従って漸化式を立てればよいのである。
本解答では、あえてn回後の考えられる状態すべてを設定した上で
(An + Bn + Cn + Dn = 1 )、そのnの時とn+1の時の間の操作から漸化式を立てた。
漸化式はすぐ立つので、後はこれを解くだけである。
一文字消去を繰り返し、{An}の漸化式にした。少し変形ではあるが3項間漸化式なので、
(隅奇に分け、落ちてくるところがA2, A0 かA3, A1かだけ区別すれば)普通に解けるで
しょう。
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75 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/27 05:06
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別解:
以上は何も考えずに作った解答ですが、もし少し操作を実験してみれば、
A2m+1= C2m+1= 0 (m≧0) やら B2m= D2m= 0 (m≧1) は当然のことと気づくでしょう。
即ち隅数回操作をしないと「白白白」に戻ることはありえないことに気づくでしょう。
もとに戻るには行き来が必要で、隅数回の操作が必要なのは当然であり、もとに戻ってこない
ような操作を俗に「片道切符」と呼びますね。
このことに気づけば2m回後の操作ではA2m, C2m しか考える必要は無く
(A2m,+ C2m = 1 ということ)、A2m+2 とA2m の間にすぐ漸化式を立てれましょうし、
2m+1回後の操作ではB2m+1, D2m+1 しか考える必要は無く(B2m+1+ D2m+1 = 1 ということ)
B2m+1 とB2m-1 の間にすぐ漸化式を立てれましょう。
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76 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/27 05:07
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別解:
即ちA2m+2= 1/3A2m + 2/3・1/3 C2m= 1/3A2m + 2/9( 1- A2m) = 1/9A2m + 2/9
⇔A2m+2 -1/4 = 1/9(A2m -1/4) より、A2m -1/4= (1/9)^m・(A0 -1/4) = 3/4・(1/9)^m
から、A2m = 1/4 + 3/4・(1/3)^(2m) と求めてもよいでしょう。
尚、B2m+1= A2m を述べれば(これは「白白白」の状態から操作をすれば、さいころの目がなん
であれ、1つが黒に変わることを考えれば明らか)、とても「美しい解答」が作れます。
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77 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/28 12:23
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復習がてらに問12の類題をもう1つ
問12の類題:
1と0を5個並べた列10110をある人が繰り返し書き写すとする。ただし、この列をSで表し、
これの題1回の写しをS1で表すとき、第2回目に書き写すときはS1を書き写す。
S1の写しをS2とするとき、第3回目にはS2を書き写す。以下、同様に続ける。
この人が0を1に写しまちがえる確率はp(0<p<1)であり、1を0に写しまちがえる確率は
q(0<q<1)であるが、それ以外の写しまちがいはないものとする。第n回目の写しSnがS
に一致する確率をC(n) とするとき、極限値 lim(n→∞)C(n)を求めよ。
(1993 東大)
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78 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/28 12:27
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解答: 始めに0であったものをn回目に0と書き写している確率をAnとし、(従って)1と
書き写している確率を1- An とすると、An+1 = (1- p) An+ q (1- An ) = (1- p - q) An + q
∴An+1- q /(p + q) = (1- p - q) { An- p/(p + q) }
これは数列 {An- q /(p + q) }が公比(1- p - q)の等比数列であることを示し、
An- q /(p + q) = (1- p - q) ^n ・{ A0- q /(p + q)} =(1- p - q) ^n ・{ 1- q /(p + q)}
= (1- p - q) ^n ・ p /(p + q)
∴An = q /(p + q) + (1- p - q) ^n ・ p /(p + q)
次に始めに1であたものをn回目に1と書き写している確率をBnとし、0と書き写している確率
を1- Bnとすると、Bn+1 = (1- q) Bn+ p (1- Bn ) = (1- p - q) Bn + p
これはAnの漸化式のpとqを入れ替えたものだから(また漸化式の初期条件
もA0 = B0 =1 で一致しているから)、結果も入れ替えて、
Bn = p /(p + q) + (1- p - q) ^n ・ q /(p + q)
さて、本問の操作は5桁の数字を書き写していくが、今回の操作は各桁毎に独立
した操作としてみなせるので、C(n) = An^2 ・Bn^3。
n→∞のとき、An → q /(p + q) , Bn → p /(p + q) 〔∵│1- p - q│<1〕
であるからC(n) →{q /(p + q) }^2 {p /(p + q)} ^3 (答)
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79 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/28 12:30
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解説:
次に0になるか1になるかは前の状態に依存して決定される為、漸化式が立つし、
このように帰納的定義なのでn回目の状態を設定した上で漸化式を立てざるを得ない。
本文の操作は始めに0や1であったりしたものを正しく書けるか、写し間違えるかの
問題であり各桁独立した操作としてみなせる。つまり、ある桁の書き写し状況が、
他の桁に従属することは無いので、n回目での状態としては0か1かしかないのだから
設定にかんしても、何ら複雑なところはないし、問13と違い工夫する余地もない
でしょう。
ただ、正しく書き写す確率を求めるのだから、始めに0のものを0と書くか、1のもの
を1と書くかであるが、始めからこれを別々にしないと初期条件が決められないので、
漸化式を解く最後のところで困ることになる。始めから分けといたほうが書きやすいと思う。
(大差はないけれども。初めから別々にしないというのは、始めが0か1かは考えずに、
ともかくn回目に0と書き写している確率をAnとし、1と書き写している確率を1- An
とするという設定である。このときも同じ漸化式がたつが最後の初期条件A0がどうで
あるかを分けて書くことになるので、結局始めが0のときと1のときといった場合分け
を最後にすることになる。)
尚、0をn回後に0と各確率と、1をn回後に1と書く確率の違いはpとqを入れ替え
たものであることは、基本的に同じ操作を行ない、違いが写しまちがえる確率におけ
るpとqの入れ替えにすぎないことを考えれば明らかであろう。ただ、これは言葉で
は説明しにくいので、解答では式の比較で説明した。
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80 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/28 12:40
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問14:
整数からなる数列{An}を漸化式A1 = 1, A2 = 3, An+2 = 3An+1 - 7 An (n = 1, 2, …)
によって定める。
(1)An が偶数となることと、nが3の倍数となることは同値であることを示せ。
(2)An が10の倍数になるための条件を(1)と同様の形式で求めよ。
(1993 東大)
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81 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/28 12:41
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解答:
(1) A1 = 1, A2 = 3, A3 = 2, A4 = -15, A5 =-59 , A6 = -72,……
より、「A3k-2 = (奇数), A3k-1 = (奇数), A3k = (偶数) 〔k≧1〕」(☆) が予想されるので、
この成立を数学的帰納法により示す。
まず、k = 1 のときこれは確かに成り立っており、 もしも(☆) がk = m(≧1)のときに成り立つと
仮定すると、
A3m+1 = 3A3m - 7 A3m-1 = 3・(偶数) - 7・(奇数) = (偶数) - (奇数) = (奇数)
A3m+2 = 3A3m+1 - 7 A3m = 3・(奇数) - 7・(偶数) = (奇数) - (偶数) = (奇数)
A3m+3 = 3A3m+2 - 7 A3m+1= 3・(奇数) - 7・(奇数) = (奇数) - (奇数) = (偶数)
これは、(☆) がk = m+1 においても成立することを示す。
以上より帰納法により、すべての整数k (≧1) について(☆)がいえることが示された。
この(☆)は「An が偶数」 ⇔「nが3の倍数」を意味するので、示された。
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82 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/28 12:42
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途中ですが(1)の解説:(問12の類題その2)
Anを解いたところで役立ちません。まず、Anがどうなっているのか実験して、予想を立てま
しょう(本文では示すべき結果を書いてくれているので、予想を立てる苦労さえ必要ないの
ですが…)。 Anについて何を証明すればよいかが提示出来れば、その証明は解答(1)の
ように数学的帰納法で可能なはずです(漸化式があるのだから)。
ところで、割り算の余りが循環するなんていう問題は、沢山ありますが、その場合
引いたら割りきれること、( a≡b (mod p) ⇔ a-bがpの倍数 )を直接示すと論じやすい。
例えばAn+3 - An が2で割りきれることを示すと、An+3 とAn の偶奇が一致し、
Anを2で割った余りは3周期で循環することが言えます。(→別解)
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83 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/28 12:44
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そこで(1)の別解:
(1) 以下、mod 2 で考える。An+2 (= 3An+1 - 7 An )≡An+1 - Anより、
An+3 ≡An+2 - An+1≡(An+1 - An) - An+1= - An≡ An よってAn+3 とAnの奇遇は一致し、
ここにA1≡ 1, A2 ≡ 1, A3 ≡ 0 であるから、帰納的に
「A3k-2≡ 1, A3k-1 ≡ 1, A3k ≡ 0 (k≧1)」がいえる。
よってAnが偶数になるのはnが3の倍数のときに限られる。
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84 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/28 12:46
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解答:
(2) 以下、mod 5 で考える。 An+2 (= 3An+1 - 7 An )≡3An+1 - 2Anより、
An+4 ≡3An+3 - 2An+2≡3・(3An+2 - 2An+1) - 2An+2 ≡ 7An+2 - 6An+1≡ 2An+2 - An+1
≡2(3An+1 - 2An) - An+1≡ 5An+1 -4 An≡-4 An≡An よってAn+4 ≡An
ここにここにA1≡ 1, A2 ≡ 3, A3 ≡ 2 , A4 ≡ 0であるから、帰納的に
「A4k-3≡ 1, A4k-2 ≡ 3, A4k-1 ≡ 2 , A4k ≡ 0 (k≧1)」がいえる。
よって「An が5の倍数」 ⇔「nが4の倍数」
以上より(1)も考えると、「An が10の倍数」⇔「An が5の倍数かつ2の倍数」⇔「nが4の倍数
かつ3の倍数」⇔「nが12の倍数」 といいかえられる。 (答)
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85 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/28 12:48
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解説:
Anを5で割った余りが、4周期で循環することを予想した上でどのようにこれを証明するか
であるが、合同式の扱いに慣れていれば上のようAn+4 ≡Anにしたほうが早い。しかし、
解答(1)の本解のように帰納法で示してももちろん構わない。
易しい問題ですが、整数問題としても良問だと思い取り上げました。
問13類題と同じく古い出題(同じ1993)になりましたので、次は新しい物で、かつ良問
である類題を探しておきます。
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86 名前:匿名さん:2005/08/31 00:35
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このスレ、スゲー
全部印刷しちまった・・・
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87 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/31 07:00
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問15:
すべてのnについてAn≧2であるような数列{An}が与えられたとして、数列{Xn}に関する
漸化式 Xn+2 - An+1 Xn+1 + Xn = 0 ( n= 0 , 1 , 2, …) を考える。このとき、
自然数mを1つに決めて固定すれば、漸化式をみたし、X0 = 0 , Xm = 1であるような
数列{Xn}がただ1つ存在することを示せ。また、この数列について
0<Xn<1 ( n= 1, 2, …, m-1) が成り立つことを示せ。ただしmは3以上とする。
(2004 東大後期?(1)のみ)
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88 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/31 07:02
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解答: X1 = α とおく。このとき、X2 = A1 X1- X0 = A1α,
X3 = A2 X2- X1 = A1 A2α-α= (A1 A2- 1 )α, ……
となり、一般にXn = Pnα (☆)という形で書けることが予想される。
これはn= 1,2のとき正しく(P1= 1 , P2= A1 とすればよい )、
n= k , k +1のとき正しいとすると、Xk+2 = Ak+1 Xk+1- Xk = Ak+1 Pk+1α- Pkα
= (Ak+1 Pk+1- Pk)α なので、Pk+2 = Ak+1 Pk+1- Pkと置けば、Xk+2 = Pk+2αとなり、
n= k + 2のときも正しいことが分かる。以上より数学的帰納法により、n= 1, 2, 3, …… に対し、
(☆)が成立する。このとき、Xm = Pmα なので、Xm = 1のとき、 α = 1/Pm と1つに定まり、
また、一般項Xn = Pn/Pm として、数列{Xn}は1つに定まる。
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89 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/31 07:11
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次に、このような数列{Pn}〔P1 = 1, P2 = A1 , Pn+2 = An+1 Pn+1- Pn〕について、
0 <Pn <Pn+1 (n= 1, 2,…)(※)を示す。
これはn= 1のとき確かに正しく〔∵0<P1 = 1 <2 ≦A1 = P2 〕
n= kのとき正しい、即ち0 <Pk <Pk+1とすれば、
Pk+2 = Ak+1 Pk+1- Pk ≧ 2Pk+1- Pk>2Pk+1- Pk+1= Pk+1 ( >0) であるから、
これは(※) がn= k + 1のとき正しいことを示すので、数学的帰納法により示された。
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90 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/31 07:13
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よって0 <Pm が成り立つから、α = 1/Pm >0であり、また、Xn = Pnα>0 ( n= 1, 2, …)。
更に、αPn<αPn+1 ⇔ Xn<Xn+1より、数列{Xn}は単調増加数列で、
n= 1, 2, …, m-1 に対し、Xn<Xm = 1 よって0 <Xn<1 ( n= 1, 2, …, m-1) が示された。
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91 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/31 07:17
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発想方法:
変則的な問題である。3項間漸化式が与えられているものの、初期条件となるX0 , X1 が与
えられていない。つまり、 X1 が与えられていない代わりにXmが決められているのである。
よって、X1の条件を出したければ、X1を(αなどど)決めてから、Xmをそれで表現していこ
うと考えることになる。そしてXm = 1より、X1 を決定していくのである。後半については
、{Xn}が増加数列であることを示せばよいと予想でき、この証明は帰納法によれば
if Xk<Xk+1 ⇒Xk+2 = Ak+1 Xk+1- Xk≧ 2Xk+1- Xk>2Xk+1- Xk+1= Xk+1
となり、帰納法でやっていけそう(正しそう)であるが、ここで正確には、Xk+1 >0
(一般にXn >0) をあらかじめ述べておかなくてはいけないし、そもそも帰納法で証明する
ときの開始証明であるX0<X1をどうやって示しておくかが一番の問題点になるし、
逆に0<X1さえ示せたら、{Xn}が増加数列であることを示すことは容易である。
(0<Xk<Xk+1という形で帰納法に乗せればよい)
以上よりはっきりするのは本問の最大の問題点は0<X1をどうやって証明するかであり、
これは、Xm = 1より、X1 を決定していくことで考えていかないと仕方がない。
私が解答の最初に「X1 = α とおく」と書いたのは、ここまで考えた上でαについての
条件を出していこうという(少なくともα>0を示しておかないと、帰納法の開始条件にす
らならない)考えのもとである、ということを強調しておく。
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92 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/31 07:20
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さて、X1 = αとおいてXmを求めていくことを考えていくと、Xm = Pmαと書けるだろうことは
すぐ分かる。これはαの一次式(定数項は0)で表せるということを示し、その係数は数列
{An}の組み合わせにより作られる定数であるということである。
するとα= 1/Pm であるから、α>0を示すためには、あとPm>0を示せばよいことになる。
これは実験から明らかな感じはあるが、正確には帰納法による。これを帰納法で示そうとした
時、Pk+1>Pkが必要で、先にこれの証明が必要になることに気づくだろうし、これは、後半
のXn<Xn+1の証明に直結してくるので、まとめて0 <Pn <Pn+1 (n= 1, 2,…)を帰納法
で証明することになる。これが終わってやっとのことで、α>0が示せるのである。
なお、0 <Xn <Xn+1を直接示すわけには行かないのは、まだα>0が示せてない以上
帰納法の開始条件の成立を確定できないので、示しようがないからである。
0 <Pn <Pn+1についてなら、開始条件の 0<P1 < P2 は明らかであるからこちらを証明
するのである。
以上のことを考えると答案構成はおおむね上記のようになるだろうが、何をどの順序で論じ
ていくのを考えるのが難しい問題である。何を証明すればよいかが提示できさえすれば
その証明は、漸化式もあることだし、帰納法で行くのは当然である。
尚(2)、(3)〔略〕は(1)が出来ればそんなに複雑ではないでしょうし、良問とは
言い難い出題ですが、(1)はいろいろ考えさせる問題だなと思いました。
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93 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/31 07:22
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問16:
0<c < 1とする。0≦x<1において連続な関数f (x)に対して
f 1 (x) = f (x) +∫{0~c} f (t) dt , f 2 (x) = f (x) +∫{0~c} f 1 (t) dt
とおく。以下、関数f 3 (x) , f 4 (x) ,…を順次f n (x) = f (x) +∫{0~c} f n-1 (t) dt (n = 3, 4, …)
により定める。また、g (c) =∫{0~c} f (t) dtとし、n = 1, 2, 3, …に対し、
g n (c) = ∫{0~c} f n (t) dtとおく。このとき、0<x<1をみたす任意のxに対し
x f (x) = g (x) + x lim(n→∞)g n (x)が成り立ち、さらにf (0) = 1となるような関数f (x)を定めよ。
(1994 東大)
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94 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/31 07:24
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解答:
題意より、f n (x) = f (x) + g n-1 (c) と書けるので、
g n (c) = ∫{0~c} f n (t) dt = ∫{0~c} f (t) dt +∫{0~c} g n-1 (c) dt = g (c) + c g n-1 (c)
∴g n (c) - g (c)/1-c = c { g n-1 (c) - g (c)/1-c } (n≧2)
これは数列 { g n (c) - g (c)/1-c } が公比 c の等比数列であることを示し、
g n (c) - g (c)/1-c = c^(n-1)・ { g 1 (c) - g (c)/1-c } (n≧2)
ここに 0<c<1より、n→∞のとき右辺→0 よって左辺→0 即ちg n (c) → g (c)/1-c 。
よって、x f (x) = g (x) + x g (x)/1-x = g (x)/1-x ∴ g (x) = x (1 - x) f (x) (☆)
ここでg (x) =∫{0~x} f (t) dt であるから両辺をxで微分して、g' (x) = f (x)
これを☆に代入して、g (x) = x (1 - x) g' (x) ∴g' (x)/ g (x) = 1/ x (1 - x) = 1/x + 1/(1-x)
この両辺をx で積分して、
log │g (x)│= log │x│ - log │1- x │+ A = log │e^A・ x/(1- x)│ 〔A : 積分定数〕
よってg (x) =B ・x/(1- x) 〔B: 定数〕 と書ける。 従ってf (x) = g' (x) = B・1/(1-x)^2
と書けるが、f (0) = 1 より、B = 1 ∴ f (x) = 1/(1-x)^2 (0≦x<1) (答)
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95 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/31 07:30
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解説:
文字がごちゃごちゃしているので、何が変数で、何が定数かを確認しながら式を見ていき
ましょう。まず、g n (c)とおいてくれている意味はこれはxの式ではありませんし、
あくまで定数(xと関係ない単なる数)ですよ、ということです。つまりf(x)にせよ、
f n (x) (n=1,2,3…)にせよxの関数部分は全く一致しており、その差は定数項の
部分しかありませんよと言うことです。
定数項の場合、これを単にkなり、置いていったんf(x)をkを用いて表してしまい、
再び、kとおいた式に代入しなおして、ここからkを決定していくというのが常套手段
です。しかし、ここではkとおくべきで無く、少なくともknと置きべきです。なぜなら、
このf n (x)の定数部分は、nによって値が変わっていくため、いわば数列を形成する
からです。問題では更にご丁寧にg n (c) とおいてます。単にg n という定数で置く
だけでなく、(c)まで着けているのでこれはあくまでxの式から見れば定数(定数列)
ですが、cが入った式になるので後々これをcの関数と見ることも出来ますよ、という
意味です。もっとも前半部分ではcの関数ということは考える必要はありません。
cはxから独立した文字定数である以上、cが含まれた複雑な式の形を持っていても、
xから見れば(tから見れば)あくまでg n (c)は定数にしかすぎず、
∫{0~c} g n-1 (c) dt = g n-1 (c) ∫{0~c} dt= c g n-1 (c) となります。
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96 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/31 07:31
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定数g n (c) の求め方は、この置き換えの定義のところから、この定数に関する方程式を立式
すればいいのですが、今回の場合は、漸化式になります。あとは、これを解けば定数(定数数列)
である、g n (c) が求まります。
最後の微分方程式は、g'/g の形( = ( log g(x) )' )が表現できるので容易に解けるでしょう。
さて、話を論証問題に戻して、最後に京大らしい論証問題1問に取り組んでもらって式処理の方法
についての解説に戻ります。
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97 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/31 07:38
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>>86
有り難う。励みになります。君の将来に期待しております。また、私としても微力ながら、
なるべく全分野の重要事項を解説できるように頑張ってみますので、数学的に自然な考え方即ち、
「当たり前に考える」そしてさらに「合理的、理論的に考える」、とはどういうことなのかを
ぜひ学んで欲しいなと思っています。
また、計算方法についてもいろいろ伝授していけたらと思います。
他教科の勉強の合間にでも、また見に来てくださいね。
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98 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/08/31 07:45
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なお、重要事項を解説するときに使う重要問題が、気たちの年代からいうと古い問題になっ
ておりますが、気にしないで構いません(言い訳と感じるかもしれませんが)。私が教えて
いた時の思い入れがある問題も少なくなく、非常に重要問題だと考えているから取り上げて
いるのと、ぜひ古くても気合を入れて取り組んでおいてもらえば、それだけいろいろな教訓
が汲み取れるかと思います。そもそも受験生が学ばなければいけない事項はほとんど変わっ
ていません。
最近の東大・京大過去問を見ての私見ですが、相変わらず、東大理系数学の大雑把な構成は
式処理3問、帰納的定義(数列、関数列、確率など分野はいろいろ)1問、図形がらみ1問、
論証(整数問題含む)1問という構成が一般的になっているようです。文系の場合もよく
似た割合であし、京大(私の母校。随分昔ですが…)もそんなに変わらない気はします。
ここらあたり(これ等の事項で問題を作るということ)が、受験数学の限界なんだろう
と思います。
もっとも、重要な事項として、式処理と図形というリンクもあるので、この表記が重なり
を持つことも述べておきます。
私の目的はともかく、重要事項、重要計算方法が学べる良問を取り上げ、解説していくこ
とに専念したいと思っています。また、一通り重要事項が解説し終わったら、いずれ直近
の問題や、他大学の問題を使って、応用・復習の機会がつくれればいいかなとは思ってい
ます。
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99 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/09/01 07:58
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問17:
n個(n≧3)の実数A1, A2, …, Anがあり、各Aiは他のn - 1個の相加平均より大きくは
ないという。このような、A1, A2, …, Anの組をすべて求めよ。
(1989 京大)
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100 名前:通りすがりの元鉄緑会大阪校の講師:2005/09/01 07:59
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解答: A1≦ A2≦ …≦An ? としても一般性を失わない。
題意より、An≦( A1 + A2+ … + An-1)/(n - 1) が成立するので、これを整理して、
(n - 1) An≦A1 + A2+ … + An-1 ⇔ (An - A1) + (An - A2) + … + (An - An-1) ≦ 0
ここに、?のとき、(An - A1)≧0, (An - A2)≧0, …,(An - An-1)≧0であるから、上式が成立
するのはこの等号がすべて成立するとき、即ちA1 = A2 = …= An のときに限る(必要性)。
逆にこのとき、各Aiは他のn - 1個の相加平均に等しく、題意にかなうので十分。
(答)A1 = A2 = …= An= k (但し、kは任意の実数) のとき